不感症女の数時間/詩集ただよう
も関係あったのかもしれないけど、そういう日の相手は、大体また電話をかけてくる
その頃から、不感症だと、思いはじめた
五人目と、別れたのと同じ春だった
あのときは気付かなかったけど、結婚を意識していたみたいで、なんだか悪いことをしたと、思ってしまう
春といっても三月は毎年寒くて、エアコンと床暖房をつけた部屋で、ソファーは濡れていた
壁際に置いてあるスピーカーでは、FMでお笑いの人が喋っていた
相手の人がいないみたいで、DJの人は話は上手だったけど、どこか会話がふわふわしていた
ソファーに身を沈めて有線に切り換えると、偶然、交響曲第9番ニ短調、第3楽章が流れていた
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