The Muddy marines/詩集ただよう
ですくえる思い出はとても幸せな温かい記憶と親の愛情だけ。それでも普段泣かない扱いやすいはずのその子は拒んだ。珍しく親を困らせた。
母親は妹が使っていたベビーカーを持ち出し、その子を数年ぶりにベビーカーに乗せ、幼稚園まで連れて行った。その子はそれがすごく恥ずかしくて、その日以来、ようちえんにいかないと言うのをやめた。
思い出は僕を縄のように縛り、胸を締め付ける。でもそれがないと人は自分の位置に立ち続けられないんだろう。どこか遠くに流される。
僕は一度だけ家出をしたことがある。家出と言ってもどこか遠くに行ったわけではない。中学二年生、手が寒かったのは覚えている。
親と喧嘩をした
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