The Muddy marines/詩集ただよう
た。母親の愛情も人並みには受けていたと思う。ひどく人見知りで周りの子よりも小さなその子の面影は、今はもうない。
「ようちえんにいきたくない」
ある日突然そう言ったその子は布団から出ようとはしなかった。
「熱がないならちゃんと行かないとだめよ」
「いやだ、やすむ」
生まれてから数年間は、女の子とよく間違えられた。同年代の男の子がやんちゃな時期に、とても静かで泣きもしないくりくりとした瞳を持つ子は大人からは女の子に見えた。
「幼稚園でなにかあったの?」
「いきたくないだけ!」
「ちゃんと行きなさい」
今思い出してみても、幼稚園に嫌な思い出はない。手のひらです
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