「存在の彼方へ」を読んでみる/もぐもぐ
る。
こういう意味では、いかにも哲学者らしく筋を組み立てているということかもしれない。しかし、なぜ、何のために、どういう見通しで、こうした議論を始めるのか、一切説明がない時点で、文章の読みやすさとしてはかなりの欠陥があるだろう。
ただ、私がこのかなり苦痛な書物に拘って何度か読んだのは、その次の部分の展開が、とても意外なものであったからだ。
まず「存在性とは内存在〔利害〕である。存在すること、それは内に存在すること〔利害関与〕である」という定義がなされ、「とはいえ、自分が不完全な仕方でしか存在を否定し得ないことに驚く<精神>、存在しないことをも支配する存在ゆえに無意味なものと化した
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