回覧車?/ブライアン
 
ぶやいた。この小さな街に子供がいなくなるまで、観覧車はあり続けなければならない。ここは、君が生まれた街だよ、と老いた男は呟く。誰かに話しかけるような具合に。
流れる景色が闇に入った。トンネルに入ったのだった。ガラスに映る顔が透けていた。触れることのできない像を見ていた。小さな街では、今もきっと子供が生まれている。新幹線はトンネルを抜けた。田畑の広がる場所に出た。ポツリポツリと民家があった。薄い夕暮れだった。子供たちは走っていた。どこまで行こうとしているのだろうか。家へ。それとも街へ。ここではないどこかを永遠に探し始めた、チルチルとミチルだったのだろうか。
観覧車から降りた女の子は、老いた男に写
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