回覧車?/ブライアン
に写真を撮って欲しい、と頼んだ。老いた男は笑って承諾した。忘れるんじゃないぞ、と心で祈っていたのかもしれない。男の子の眼差しはジッと老いた男のシャッターを押す指を見ていた。別れ際、忘れるなよ、と男の子は女の子に言うだろう。当たり前じゃない、と女の子は答える。だが、当たり前に過去は忘れられるのだった。老いた男は、カメラを手渡した。男の子の肩をこぶしで強く殴る。男の子はいぶかしげに老いた男を見る。少しの沈黙。その後、今度は一人できます、と男の子は宣言した。女の子は楽しそうに二人を見ていた。
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