回覧車?/ブライアン
に特別なものはなかった。海も百万ドルの夜景も、美しい夕焼けも。まして、広大な大地が永遠と続くわけでもなかった。二人は観覧車の窓から生まれ育った家の屋根を、互いに指差した。男の子は、あれが僕の家だ、と言った。新幹線の線路が東西を結んでいた。高架橋の下の騒音の響く屋台の話をする。スーパーマーケットの駐車場の話をする。観覧車は最も高い地点に達した。そこから、ゆっくりと下り始める。女の子は男の子に顔を向ける。優しい声だった。大学からは離れ離れだね、といった。
その下、観覧車を見守る老いた男は、固い煎餅を頬張っていた。空は曇っていた。山に囲まれた小さな街。みな、都会へと行ってしまうのだ、と老いた男はつぶや
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