八月の絶唱/飛鳥 彰
贈る
独り立ち
夢見るキミはおとなびて
美しき羽根の雛鳥のごとく
夕食後
電気を消して月を見る
キャンドル灯せば世界が歌う
月見酒
いつかふたりで飲めるなら
トマトのはなしをしてもいいかな
かぶりつく真っ赤なトマトは
目覚めさす
われも生き物 熟れてあれかし
もぎたての赤きトマトを
ほおばれば 心にじゅわあっと
陽が昇るかな
うごかずに闇のしじまに
われひとり座して月見る
振り子が止まる
闇の中 月の光に癒されて
わが身いたわる
こころゆたかに
乙女ゆえ鏡はいのちと
我思う
夜に月光 夜
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