八月の絶唱/飛鳥 彰
 


わが魂(たま)もいざ覚醒(めざ)めよと
ひらきたるは薄紅色の
薔薇の瞼よ


いやまさむ
日にも月にも色染めて
とどめ置きける薔薇の文箱(ふみばこ)


ときめきと色こそ競え
薔薇の花
名だたる群れに先駆けしつつ


ペガサスのこころのままに
飛びきたるキミが封書は
薔薇の香(か)うまし


流星の天空翔(か)けるすがたして
はやてのごとく
文(ふみ)はきたりぬ


煌々と天座にひかる
星の海
キミもあそべや我とまみえて


ポエケット
げになつかしき響きあり
かつてはわれも詩書売るひとり


蝉しぐれ
残暑の木々をふ
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