夜叉/星月冬灯
嗚呼、わたしのかわいい児を
もう一度わたしの胸に返しておくれ
山の無情と人の非情を背に受けて
一滴の水も一粒の米も与えられず
悪に魂を売る我が心
わたしのかわいい乳呑み児のために
たとえこの身は地獄にいこうとも
業火に焼かれようとも
許すまじか人の業
泣いて泣いて泣き暮れて
骨になった我が児に頬擦りする
赤いおべべを着た赤児はどこにおる
わたしのかわいい乳呑み児は
あの甘え声も聞けず
乳臭さもない
されど我が児かわいや
嗚呼、嵐よ
も
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