夜叉/星月冬灯
 
 赤いおべべを着た赤児はどこにおる
 わたしのかわいい乳呑み児は
 寒かろうと夜な夜な編んだ赤いおべべを着せた
 わたしのかわいい乳呑み児よ
 冬の山の嵐に耐え切れず
 春の小川のせせらぎを聞けず
 二度と眼を開けることをしなくなった
 わたしのかわいい児
 大丈夫
 母さんがいつまでも傍にいるから
 微笑んであげるから
 抱き締めてあげるから
 お乳を与えてあげるから
 誰もおまえを独りにはしない
 今夜も嵐の中で
 母さんが子守唄を歌ってあげる
 ねんねんころり・・・
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