ゼフィルス讃歌/飛鳥 彰
 
フィルスだとか
すこし幸せなゼフィルスだとか
次からつぎへと翔びだすので
あたりはいちめん 蝶の乱舞で狂いはじめる

蝶の乱舞で狂いはじめる
乱舞するゼフィルスが
千年の夢の中で狂いはじめる

たそがれになってむらさきの葡萄のような風が吹くと
ゼフィルスは 水に流れたオフィーリアの髪のような
木々の梢に帰って眠る とひとはいう

それまでの時間
わたしはどんな色をして佇んでいようか
東の空あたりにうるわしのヴィーナスと呼ばれる金星が
しずかに昇るころまで

それまでの時間
わたしはどんな色をして佇んでいようか
どんな色をして佇んでいようか

ゼフィルスが
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