ゼフィルス讃歌/飛鳥 彰
 
どんな色をして佇んでいようか
西の山のあたりから猟師が猟犬を引き連れて
舞い戻るように夕風が吹くころまで

それまでの時間
わたしはどんな色をして佇んでいようか

見果てぬ夢だ とひとに笑われても
骰子(さい)は投げられた と言って
ルビコン川を渡ったユリウスのように
勇気だけがわたしを未来にひきあげてくれたのでした
ユリシーズのようにいくつもの危難を乗り切ってきた
太陽のコロナを抱くように竪琴をだき
ホメロスのように詩書を天にかざして歩いてきた

幌馬車隊のカウボーイみたいに歩いてきた
わたしの足許にひろがる大地
そこをかるくたたいてみたら
悲しみ色したゼフィ
[次のページ]
戻る   Point(3)