一行詩集「夏収め」/明楽
晩たった綿菓子の淋しさ 祭りの後
七
汗にまみれた夏日を次々と脱ぎ捨てているうちに九月一日に辿り着く
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思いがけない軽やかさで立ち去る夏にうろたえる秋の入り口
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立ち枯れた向日葵 行過ぎた夏の残像か
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入道雲がなだらかに崩れ去り 秋風に舞い上げられてうろこ雲
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西日にさらされ萎れて縮んだ水風船 夏の終わりも近づいて
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泣きじゃくりたい葬式に参列しているような八月下旬のこころ模様
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静かに膨らむカーテンの深呼吸に混じる秋の微笑み
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朝顔が遺した小さい黒い欠片に詰まった来年の夏
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