一行詩集「夏収め」/明楽
 
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極楽蜻蛉の透かした翅に見える幸福論

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線香の煙を導に帰る家族を待つ墓前

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耳に残るはぼぢっと終わった線香花火 今際の声

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海は広くて大きくて 波の向こうの戦火は見えない

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終戦記念日以降もどこかで戦は始まり終わり また始まり

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炎に集まり身を焦がし ぢっと終わる細々した命

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盆踊り めぐりめぐる輪 輪廻のごとく始めも終わりも見当たらず

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夜店ではアセチレンランプの光で何もかもが五割増し

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幼き手で引いていたのか 引かれていたのか夏祭り

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一晩た
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