一行詩集「夏収め」/明楽
 
の騒々しさに立ち眩む

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たも振りかざし無邪気な笑顔で雑魚乱獲の用水路

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川べりへ向かい前後不覚になりそうな夏草の海を掻き分けて進む道のり

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しじゅじゅじゅじゅじゅじゅ ただ伸びてゆくだけで楽しい蛇花火の不思議

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過去の少年が現在の少年と手を繋ぎ同じ笑顔を弾けさす

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炎天下に待ち受ける蟻地獄をただ見守ることができなかった幼少の日

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遊びつかれて午睡になだれ込むしあわせな子供時間

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夏休みの宿題すら懐かしい社会人

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捕まえられなかった谷川の魚を子供心が今も追い続ける

 
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