一行詩集「夏収め」/明楽
 
スファルトで終わる蝉 運びに来る蟻 自然の摂理

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回しきった発条が一気に戻る勢いで過ぎ行く夏時間

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ヒグラシ響く境内で囚われの魂ごとくに浮かぶ虫取り網の白き影

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ラムネの泡は夢の種 弾けて真夏の夜に咲く

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草の褥に横たわり こころは天の川にて遊泳中

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蛍の光にくちづけて縁を結ぶ 夢路の導に解き放つ





白く翻るスカートの裾に麦藁帽子の初恋じゃれて夏休み

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夕立で透けた君のTシャツをじっと見る こころまで透けるはずないけれど

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瞬間燃焼 真夏の恋は一夏性

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