一行詩集「夏収め」/明楽
 

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ビーチサンダル 水着バック 生温かくて不愉快だった帰り道

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赤子に噛り付くよな心持ちで水蜜桃に歯を立てごくりと喉を鳴らした昼下がり

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風鈴響く畳の匂い 午睡のあとに冷たい西瓜

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弾丸如き激雨に打たれて散弾銃の痛みを夢想

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夕立に洗い流された一瞬 世界は清浄さを思い出す

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雷鳴豪雨 停電洪水 自然への畏怖を知覚する

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冷たい胡瓜の響かせるぼづりぼづりという咀嚼音の気だるさに溜息をつく

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ものみな朽ち逝くまで生き過ぎる 後には何も残さぬ儚さで

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焼けすぎたアスフ
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