一行詩集「夏収め」/明楽
い遊びシジミチョウ
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シオカラトンボが細く長く夏の糸を引いてゆく
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弱肉強食 油蝉を咥えて去りゆく猫も生きている
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太く短く生きるが夏の理のように振舞う
三
真昼の公園 白い陽炎 ひなたぼっこの鳩もなく
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水辺の子供の歓声が真夏の太鼓を打ち鳴らす
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入道雲と背比べをするほど 幼子が育てる真夏の好奇心
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冷えた麦茶を飲み干した後に漂う放心忘我の境地の清涼感
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仰げばうっとおしき火炎太陽 眩むまなこに滴る汗
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白球追って黒々と染まる球児の健やかさ
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