ブロッコリーをなげつけろ/詩集ただよう
 
れるはずがなかった。

事の次第が明らかになったのはお祖母さまが家から居なくなられて数週間後、軽弾みに二人の秘め事を父上に漏らしてしまったことに始まる。父上はそのとき私にこう教えて下さった。
「ばあちゃん痴呆やけん。」
合点がいった。いたく感心させられた。いや、所々感付いてはいたのだが、その思いはいつも時の狭間に捨て置いてきた。何故なら、お祖母さまの温かい膝に我が身を委ねると、全てを忘れさらるるからであった。父上はこう続けた。
「こんなに明るい痴呆は見たことないって人気者や。ばあちゃんやりおったで。人気者や。やりおったでー。」
その直後、乾杯、と続けた父上と田島一族在りし日の
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