薄荷/Utakata
をする
駅で最初に見た列車は
わざとやり過ごしてしまえばいい
どうせ。
ようやく乗り込んだ車両
かつてその上を泣きながら歩いた
ひとりぼっちのこどもの亡霊を
線路の上で
次々とひきつぶしてゆく
2.1「窓からみえたもの」
いつだって
飛行機雲に貫かれたかった
思うたび
通り雨が丁寧に洗い流してしまう
2.2.
罪のない唄を
口ずさみながら
ゆれる、
たびに
くちびるの端から少しずつ零れだしてしまう
扉が開くたび
知らない駅に置き去りにしてしまう
3.「辿りついた分戻らなければいけない」
着いたと自分に言い聞かせたとこ
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