染めてくれない - dye scarlet over white –/橘柑司
ている場所も黄色に覆われていた。中心点からは遠いものの、それでも網から外れるには直線距離で五kmはある。絶望的だ。最短逃走ルートを検索させ、僕は駅から出ようとした。
しかし、その瞬間、アラートレベルが三に達した。特定が完了したと言うことだ。こうなれば、もう逃げ場はない。あとは死に場所を選ぶだけだ。五分もすれば、敵の人間が僕の所に来るだろう。仕方のないことだ。僕は、PDAに最寄りの電話ボックスを検索させた。
この街には、残念ながら電話ボックスは無かった。公衆電話はあるものの、施設の中にむき出しで設置されているものだけだった。僕は諦め、ルール通り人気のない路地へと移動した。膝下まで
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