染めてくれない - dye scarlet over white –/橘柑司
に交通機関が麻痺してしまった。駅に戻って駅員に尋ねてみたが、雪が止まない限り復旧の目処は立たないし、変わりの交通手段もないとのことだった。つまり、僕はこの街に閉じこめられてしまったことになる。仕方がないことだ。何かしらのトラブルは必ずと言って良いほどつく仕事である。時刻は十六時。念のために、宿は取っていた方が良いだろう。僕は、PDAを取り出して、周辺の地図を呼び出した。
その時、インプラントがアラートを発した。レベルは二。運悪く一気に敵の網の中に入ってしまったようだ。周辺地図を表示しているPDAに、その画面のまま網の圏外を調べさせた。すぐに網がかかっている範囲が黄色くなる。やはり自分の立ってい
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