染めてくれない - dye scarlet over white –/橘柑司
、最低限の身だしなみを整え、部屋を出た。
バーには、サトシとユウジ、それとウィルがいた。二十時には解散したはずだが、彼らは一緒にいたようだ。未だに話が尽きないようで、僕が近づくまで彼らは気付かなかった。
「あれ、眠れなかったの」
「いや、たまたま目が覚めた」
サトシに答えて、僕はユウジの隣に座った。ユウジの前にあるグラスに目がいく。
「ユウジ、それ何」
「ストロベリィ・ファーム。甘めで濃いめかな。飲みやすい」
「じゃあ、僕もそれをもらおうかな。で、こんな時間まで何を話してたの?」
「そう、お前は良いときに来たよ。ちょうど新しいテーマに移ったとこだ。なあ、お前はさ、どうい
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