染めてくれない - dye scarlet over white –/橘柑司
ういう死に方がいい?こんな仕事をしてるんだ、一度は考えたことがあるだろう」
「そうだなあ。どれが一番良いだろう」
僕たちは、仕事の関係上、いつ死んでも、もしくは殺されてもおかしくない。だから、どういう死に方をしたいのか時々考えることがある。それは彼らも同じのようだ。
「私は崖みたいな所から転がり落ちたいですね。階段で足を滑らせた時のこと、覚えてますか。あの、身体が跳ねながらごろごろ回される感覚が好きなんですよね」
僕から一番遠いところにいるウィルが話し出した。こういうときに自分からしゃべり出すとは、彼にしては珍しい。やはり、酔っているのだろうか。
「ねえ、それって坂とかじゃ駄目なの」
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