[夕立]/東雲 李葉
髪をひっつめ聴き飽きたアルバムに耳を傾ける。
雷はまだ止みそうにない。
雨はどんどん激しくなる。
光った後に鳴る音の速さで雷の近さが分かるという。
懐かしい小学校の理科の教科書。リトマス試験紙や石灰水とか、
テストの度に書いて読んで覚えたのに今じゃどこにも使わない。
酸性雨なんてこの近くにいないし二酸化炭素は言わずもがな地球の敵。
テレビが言うことは概ね正しい。
正しいと信じてしまえば事実がどうあれそれは「正しい」
やがてアルバムは終わり私は一つも歌を口ずさまなかったことに気付く。
歯車が狂ってしまった以上今日はもう正常に動けそうもない。
夕飯
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