風のオマージュ 番外編/みつべえ
 
是がまあつひの栖か雪五尺


いつだったかなあ、もうずいぶん昔の話。
ある年の二月頃、私は列車にのり、信越本線をどこかへ向かっていた。
そのときの気持ちを詩にたとえると、

列車よ、俺を運び去れ。快速艇よ、さらってゆけ。
遠くへ、遠くへ。都会では、涙で泥濘が出来るのだ。
               (ボードレール)

みたいな感じ(笑)

いったいどこへ行こうとしていたのだろう。
未来への展望も現在の幸福への所属感もない逃避行。
デタラメで無自覚な青春の、不思議になつかしい記憶だ。
もっとも、デタラメで無自覚なのは今でも変わりないけどね(苦笑)

冒頭の句は、
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