給水制限の朝(Mr. チャボ、正義と友情と愛とナントカと)/角田寿星
 


枯れかかっていた

怪人たちはユリ男もヒマワリ男も土気色の顔で
両脚をバケツに突っ込んだままぐったりしてる
眼を閉じている 顔にセミがとまって鳴いている
バケツの水が緑っぽく淀んでいる
総統がいちばんひどい
腕がぐにゃりと萎れて骨が消えている
おっさん おっさん タケのおっさん
人間だった頃の総統の名前をぼくは繰りかえす

「みんなグロッキーで動けるのはぼくだけなんです」
ふらふらと悲しげにつぶやくサボテン男
…戦闘員A氏は? 彼はまだ生身だろ
「A氏は今は電車通勤です 九時には来ますよ」
そうだよね たしかA氏結婚したんだっけ
フラワー団からの招待状に欠席
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