父/二瀬
行方知れずなのです
そう誰にも言っていた
いつからだって
私達は
他人だった
いったいあなたは誰
わたしは誰を
捨ててきてしまったの
こんな喪失の姿は
どれもこれもが
あまりにも似てしまった 手の振り方だから
私も 他人も あなたも
冷たく微笑むだけで
全然分からない
お父さん
わたし、あなたを温めることはできない
お父さん
本当は、冷蔵庫の中のあなたに驚いた
「お父さん」と
ありふれすぎた故に、名もないもの
白いあなたからの最後の手紙を
いしのなかに埋めながら
私に忘れら
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