靴墨の詩/かいぶつ
1 詩人の恋
詩人には愛する女性がいた
詩人は二回目のデートで
その美しい女性に告白をした
彼女の答えはこうだった
臭いセリフ吐かないで。
落胆している詩人はその日から念入りに
歯を磨くようになった
一日に約四五回
一週間で消費した歯ブラシは四本
歯磨き粉は七本 歯は一本だった
詩人は次のデートで彼女に再度、告白をした
彼女の返事はこうだった
それよりあなた言葉を磨いたら?
白い歯も爽やかな息も彼女には無力だった
頭を抱えた詩人はその日から念入りに
靴を磨くようになった
詩人は一足のオンボロ靴しかもっていなかったが
せっ
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