ヒデキチサイコー/ポロリ
 
嘆し、自慢話に辟易した頃、辺りは完全に日が落ち闇の支配に入っていました。名物に目を奪われていたからでしょうか、部屋には蝋燭の灯が点いていました。するとどうでしょう。金屏風に彩られていた紅葉と芭蕉が、朱色の夕日と安閑とした沼地に鮮やかに照らされているではありませんか。あっ、と呻いたのは僕ばかりではなかったでしょう。思わず亭主のほうを見ました。私はこの時の彼の勝ち誇った顔を一生忘れはしないでしょう。

 利休と秀吉というと、どうしても利休が先生で、秀吉が生徒。そして、芸術に関してどうしても先んじ得なかった秀吉が政治を口実に利休を殺したとかそうで無いとか、そんな話が僕の脳裏をよぎります。しかも、利休
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