ヒデキチサイコー/ポロリ
 
した。ただこの時は、金色の野と海にただ一つ立つ燈篭の塔が、物悲しく孤高を保っているかに見えました。それはこの寺を建てた人物の個人的な印象がそうさせたのかもしれません。
 広間に通されると、真っ赤な敷布と濃い群青の敷布が、一つずつ並行に並んでいました。50畳ほどの空間にそこに無ければならぬといったバランスで、ぴたりと納まっていました。招客として座ると、はっと気付きました。敷布に沿うようにして屏風が立てられています。赤い敷布のほうには紅葉の金屏風が青い敷布のほうには芭蕉の金屏風が吸い付くように納められています。その人工的な感覚がなんとも言えず不可思議で自然とそちらに目が行きました。
 名物に感嘆し
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