無花果の花/亜樹
世話を焼きにやってくる。
彼女は淋しいのだ。その淋しさを紛らわすため、猫の子を可愛がるように、妹島を可愛がるようになった。当然、息子が帰省した間は、一度だって妹島の家に来ることはない。
「やあどうも。ちょうど昼どきだし、あっためて食べるがいいよ」
「いつもすみません……」
「いいよいいよ。どうせ棄てるしかない残りモンだから。ありがたがらずに食べておくれな」
そういって笑いながら、おかみさんは肉じゃがの入った皿を妹島に手渡した。おかみさんのつくる煮物は、妹島の故郷のものより幾分か甘い。けれど、食べられないほどではないので、妹島はいつものように頭を下げ、それを受け取った。
満足そうに
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