犬神の作り方/がらんどう
こえないように耳栓をしておく必用があるだろう。そのようにして入手した犬の首を新月の晩、戌の刻、四辻に埋めて大勢の人の踏むにまかせ、月が一巡りするのを待つ。それを掘り出したのち、白木の小箱に収め、呪物として祀れば犬神が完成する。
昔に、子猫を解体する様子を写真に撮り、ウェブ上に公開した人がいたと記憶するが、あれなどは犬神というものの本質を理解していない者の未熟な模倣であろう(あの場合は猫神か)。現代に於ける辻の代用物としてウェブを利用するというアイデア自体は、テクノロジーと魔術の融合において割合一般的なものである。だが、あのやりようでは、他者の怒りや憎しみを術者自身へと集めるだけである。人の現
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