詩人の墓/亜樹
めに大学へ行った。
キャンパス内をふらふらと俯きながら歩いていた。歩くのがつらくなって、何度も立ち止まった。食堂の裏の道で立ち止まって、不意に気がついた。
梅が咲いている。
枝の間から見える空が青い。
――吐かないと
そう思った。
頭の中で、ぐるぐると詩が回っていた。短歌だったかも知れない。俳句だったかも。
ともかくそれは、どうしようもない衝動だった。
頭の中の、それは、そのうちに胸遷った。ガン細胞のようにそれは広がった。溜め込んで溜め込んで、腐り落ちて醗酵しきった数多の詩が、歌が肉の代わりの骨の間にしみこんでいた。
その日のうちに私は
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