詩人の墓/亜樹
種にならない」という父の言に、なるほどそうかと頷いてしまったのだ。
その日から私は詩人に憧れない。
谷川俊太郎のような潔さも、宮沢賢治のような高潔さも、金子みすゞのような果敢なさも有さない。
なので、私は詩人ではない。
中学にあがってから、私は詩を書くことをやめた。
理由は私のほか、そんなことをしている者はいなかったからだ。
クラスメートは皆、アイドルや流行のドラマ、ファッションに夢中だった。
金子みすゞなんて誰も知らない。
国語の教科書に載っていた『ぼろぼろな駝鳥』が、私は好きで好きでたまらなかったが、そのことを話せるクラスメートはいなかった。
授業
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)