媚態/鈴木
 
ルの脚をなめ回す作業に取って代わられるかもしれないのだ、君のくれるパンを毎日々々咀嚼する様を思い描きわたしは

 さてもさても天井の染みから個性的な解釈を見いだそうとするのは戦後世代が吹聴する思想に触発された人民一般の習慣で、両隣室から空や塔だのみんな空や塔だの好きだよねとか他に花や砂や鳥や蝶やそうそう「わたし」も流行っているとか、素粒子的な描写を重ねながらマクロへの円滑な移行が云々、文章の線的性質から言語を建築し四次元にまで飛翔させる云々

 くるぶしまで田に浸しながら
 幾人ものわたしがいる
 からっぽの眼窩にオナガが入り込んで卵を温める
 はみだした尾をつまんで焼き食ってしまう
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