壜詰/10010
 
されねばならない」

壜詰は腐敗を遅延させるが、それは壜詰自体が無限に遅延していくことを意味したのである。メカニズムは存在しない。ブラックボックスも存在しない。腐敗を遅延させる秘密も存在しない。硝子は透明だ! 壜詰の存在そのものが遅延であり、また遅延の証しである。証しはいつも遅れてやって来るものだ。

ここから導かれるのは、腐敗性の硝子、という観念である。硝子もまた、否、硝子こそが、腐敗するのだ。決して割れることなく、しかしただ腐敗の危険にさらされている硝子。しかし、だがそれはやはり腐るのではないかもしれない。結局だれも開けてみない壜詰であるならば、その中でオソロシイコトガオキツツアル
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