「花束」/ベンジャミン
 

生徒からもらった手紙には
「わたし先生がいなくても頑張ってるよ」
って書いてあった

渡り鳥のように教室をめぐる僕は
だからこそ一つ一つの授業を大切にする
うまくいかないこともあるけれど
だからこそ一つ一つの失敗をわすれない

もしも人の心の中に花が咲いているとしたら
たとえばそれが一本のバラのようだったら
うかつに触れてしまったらいけない
花びら一枚めくることもいけない
それくらい傷つきやすいから

花屋さんで花束をたのむとき
僕はいつもカスミソウをそえてもらう
僕はそんなふうで在りたい
それが優しさだとは言いきれないけれど

もしも人の心の中に花が咲
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