「花束」/ベンジャミン
が咲いているとしたら
たとえばそれが一つの個性だとしたら
できるだけたくさんの枝を伸ばして
包み込めたらいいと思う
それが一つの花束になって
最後に「ありがとう」と言ってもらえたら
そんなに嬉しいことはない
「わたし先生がいなくても頑張ってるよ」
「でも、いつもどってくるの?」
「また授業みてね」
僕が伸ばした枝先が
まだその生徒を支えているのだとしたら
僕には「ありがとう」と言われる資格はない
返事を書こうと思ったけれど
言葉が詰まって出てこないから
かわりにこうして詩を書いているよ
もしも人の心に花が咲いているとしたら
たとえばそれがその一人の生徒の中で
ぽつんと咲いているとしたら
それが花束になるように
見えない枝を伸ばさなくてはいけない
それが優しさだとは言いきれないけれど
それが僕にできる精一杯なのだと
信じることしかできないけれど
僕は手紙を見つめながら
その小さな花に
この詩を捧げよう
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