膨らむ図書館/ケンディ
 
、さらに図書館のアーカイブは
増殖していることを発見したからだ。
発話も、図書館を膨張させていたのだ。
だが、これは自然なことなのかもしれないと
僕は思うようになってきた。
永遠に開かれることのない本たちの間の
薄暗がりでスタンバイしている意味という役者たちを思えば。
それらは、本が開かれたら、たちまち
躍り出なければいけないのだから、彼らの楽屋は
きっとどこかにあるはずだ。
彼らの楽屋が、この図書館内部にあったというだけの話だ。

僕が本に手を伸ばした瞬間、また図書館は膨張したようだ。
発話のみならず行為もこの図書館にデータベースとして
保存されるのだろう。僕と同じ境
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