膨らむ図書館/ケンディ
 
定の人物のものであり、
その背後には、その特定の人物の思考・情念・生活が
うねっている。
その髪の毛は、彼/彼女の、生まれてから死ぬ間の、
何本目の抜け毛なのだろう?書き込みに使われた鉛筆は、
どうなったのか?
僕はこれらの空想に夢中になってしまい、
いつの間にか迷子になってしまったのだ。

棚番号を見ると怖くなるので、見たくない。
それほどに広い図書館で、迷子になってしまった。
でも僕は棚番を見てしまった。そして
想定どおり僕は絶望してしまった。
目の前にある棚番号は、∞-AAA-p^QK2321555で、
しかも毎秒加速度的に蔵書が激増している。
新たに本が入庫さ
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