「 かいり。 」/PULL.
 
ているくせに。」
「あたしはただ…。」
「だた、ただ何よ。あなたはただわたしを飼っていたかったの、わたしが夫と別れてひとりだから?住むところがないから?。うそつき。触れたいくせに、今すぐこの中に触れて、わたしの中に入ってきてめちゃくちゃにしたいくせに。何もしない。あなたはいつも黙って、ただ見てるだけ。」
「もう…何も言わないで、あたしを混乱させないで…。」
「欲しいんでしょ、わたしが。さあ奪いなさいよ、この指で、いつもひとりであなたがわたしを想いながらしているように、奪ってみなさいよ!わたしだってあなたが欲しいんだから!。」


四。

 あたしを見上げるかいりの眼が、赤く、充血
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