「 ぼくらのつめたい亡命都市。 」/PULL.
ともなく、ひとり、穴に向かう。つめたい風の吹く方へ向かって、街の中を、向かう。ヒコクミンたちはみな目をつむり、誰も、何も見ないように、だけどでも誰も、何も聴き逃さないように、その時を、待つ。
穴に着く頃には、コクミンは全身が凍り付き、この街のものではなくなって、いる。一歩一歩、音を立て、つめたい地面に張り付く脚を引きはがし、コクミンは穴に、近づく。近づくほどに穴から吹き付ける風は、つめたくなり、つめたくなるほどにこの街はまたつめたく、なる。
やがて足音が止まり、どこかの奥でつめたいものが砕ける音が、する。
六。
この街ではつめたくて、だから誰も冷蔵庫を持っては
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