「 ぼくらのつめたい亡命都市。 」/PULL.
誰もいない広場の影から、眼を、きつく閉じて、誰いうことなくみんなで列になり、ひとりずつ、誰にも見られないように、拾い。誰にも読まれないように。
読む。
紙には懐かしい祖国の文字で、こう書かれている。
『冷蔵庫に亡命した雪だるま王様気取りで暴動近し。』
五。
この街ではつめたくて、誰も涙を、流さない。涙を流せば瞼が凍り付き、二度と、開かなく、なる。眼を失ったヒコクミンはもう、この街のヒコクミンでは、ない。ヒコクミンでなくなったコクミンは、穴に、捨てられる。穴は街の臍にあり、そこからはいつもつめたい風が、吹いて、いる。
コクミンは誰に引き立てられることも
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