目印/狩心
 
トの匂い
全ての事柄において出遅れたと悟る休日
首から上を失った午後
手元だけが手探りで地面を触った

そこに冷たい感触
過去に突き刺した画びょう
皮肉な事か
私を死へと誘ったものが
今では私を生へと誘う
目印になった

目が見えないせいで
穴は埋まった
そして風の音が聞けるようになった
遠くで笑う夫婦も
今では友達のように思える

言葉が侵食していた
この場所からあの場所まで
本当に歩いた事は
一度でもあったか
硬い硝子が揺れて
傾斜角45度を作り出す
私は滑るようにして笑い
火縄銃の中で卵を守った

カチンという音
そしてもう一回
カチ
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