目印/狩心
カチンという音
何度でも引き金を引く
米神が貫通するまで
地面は垂直と化し
壁となる
そして柱となり
また新しい建造物が立つ
この無意識とも呼べる構築が
いつも夜を運んでくる
この見えない目に
さらに真に黒い
優しさの音を求めて
ああ
同じものと同じものが融合していく
二つであったものが一つになる
抜け殻から脱皮した蝉は
さらに大きい蝉へと変貌するのだ
夏の言葉が雨のように降り続け
秋は遠い彼方
その頃出会った彼女の背中が割れて
そこからもう一人の自分が出てきてにやりと笑う
またか
どこまでも鏡のような空
光を硬く反射する強い意志
そのバリケードにおいて
図書館のウルフは
微生物のミジンコへと変貌する
顕微鏡の世界にしか理想はない
歓喜したのは水中の中
歩き出したのはマグマ
夜明けが
ドレミファソラシドを奏でる
逃げられない絶体絶命の音階
近所のオバサンは今日も買い物をする
血生臭い右手と
知らない誰かの左手を
隠しながら
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