目印/狩心
 
侵食されないこの部分から
侵食されるあの部分まで
等間隔に画びょうを打ち付けて行こう

画びょうの先端部分は減り込む
床は声を上げる
どこぞの知らない夫婦に
腕組みしながら睨み付けられて
めっぽう弱い
神風のように運任せで
でも奇跡が起きるのよと
懺悔する毎日だ

それは一つの消印でもあった
女が男のような声を上げる時
図書館のウルフが不眠症の薬を噛み砕く
その音
地から回転する円盤状の放射線物質
放射線状に拡散する吐息と
惨めな助産婦の姿が重なる

左手もない
右手もない
でも暗い穴蔵から何かを引き摺る音
呼吸する音よりも大きく
胸の中で風船のよ
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