花は桜木と申しますが/亜樹
年。いまだ立派に花を咲かす。
けれども、私がその樹を見に行ったのは3月半ばのまだ寒い時期だった。花芽はつけていたものの、1輪たりとも咲いていない。そのごつごつした枝ばかりが目立ち、古くなった枝が折れないようにと人間が施した鉄製の支えや、その幹の巨大なうろに流し込まれたコンクリートもなまなましく露出していた。
それはあたかも病室でコードにつながれ、強制的に呼吸をさせられ心臓を動かされる病人の様相をかもし出していて、近所の神社の裏で注連縄を回されている銀杏の方が、よっぽど生気に満ち、大木の神々しさをまとっているように感じられた。
しかし、その桜のごつごつした黄土色の幹の脇から、若々しい緑色
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