失われていく題名/秋津一二三
とき
憧れもなく都に逃げる
全ては持っては行かれない
「癒着した渓谷にて」
幸せでもなく不幸でもなく
異性は関係に拘り 関係を目指す
そこに何があるのか
「停滞は幸い也」
海を見て川の全てを知ることはない
生命は海の支流にもある
そこにいなかったことを悔いる余地はない
「業。郷。拷」
羽を 翼を 持っていてもいい
しかし それに甘えてくれるな
いつだって選択はあるのだ
「とばない」
執行を猶予された私は
告げることなく 遠のいた罪を眺めていた
現実になった詩を考えねばならなかった
「背きに至る」
それは誤字か皮肉か と
問われた男はどちらとも
答えず ど
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)